語学のセンス


外国語が上手になるには、根気よく続けることが必要だ。しかし、その上に語学のセンスが必要だ。

語学のセンスがある人に共通して備わっているのは、次の3つの態度だ。それは、「観察」と「模倣」と「暗記」である。この3つの態度をもって外国語を学び続ければ、確実に上手になる。

まず、使われる言葉をひたすら「観察」しよう。どんな言葉が、どんな場面で、何のために使われたかを観察するのである。残念なことに、この部分で脱落してしまう人がとても多い。観察は、科学者の基本的な態度だ。科学者は、観察の対象が正しいか間違っているかを論じない。観察の対象の奥に潜む法則性は何かをひたすら追求する。言葉を学ぶ人も、同じ態度でありたい。私たちも、その意味で、科学者になろう。

それから、観察した対象とそっくりに振る舞おう。つまり、「模倣」するのだ。特に発音に関しては、徹底的に真似るべきだ。大体それらしく聞こえればいいというのではなく、可能な限り、そっくりに聞こえることを目標とする。そうやって発音練習をしてみると、初めはとても大変だが、徐々に慣れてくるだろう。

そして、最後に、ある程度まとまったものを「暗記」してしまおう。暗記はよくないという意見がよく聞かれる。しかし、暗記を厭わない学生の実力は、暗記を嫌がる学生とは一線を画している。また、暗記は、観察と模倣を完成させる大変重要な態度だ。また、暗記したテクストは、折に触れて無意識のうちに観察をくり返している。ただし、辞書の丸暗記は、語学のセンスに致命的な悪影響を与えるので、思いとどまった方がいい。

以上のことは、できる限り、実際に使われた言葉か、それに近い状態のものである必要がある。「部屋に家具がいくつありますか」とか「3頭の馬が逃げていく」のような意味の空虚な文は、語学教材にありがちだが、こういう例文も語学のセンスを歪めるかもしれないので、できれば避けた方がいい。

私たちは、実際に使われた言葉を、ひたすら観察し、ひたすら模倣し、ひたすら心に刻み込むことによって、外国語のセンスを身に付けられる。この中からどれか一つでも欠けると、センスよく外国語を身に付けることは難しくなる。

「観察」、「模倣」、「暗記」という3つの態度が、語学のセンスには不可欠の要素だ。一生懸命外国語を勉強しているはずなのに、なかなか身に付かないという人は、自分の学習を振り返って、この3つの態度のうち欠けている部分がなかったか点検してみたらどうだろうか。