レミニセンスって知ってますか?


以下の文は、ライコスクラブに書き込んだものです。

31   レミニセンス
2000/12/31 03:30:51  ijustat  (参照数 5) << 前へ-次へ >>
「水泳は冬の間に上達し、スケートは夏の間に上手になる」という名言を、アメリカの心理学者ジェームズという人が言ったのを、どこかで読んだことがある人は多いと思います。

これは、夏の間によく泳ぎ、みっちりと練習をつんでおけば、冬休んでいる間にいつのまにか水泳が上達しているということ、また冬の間にスキーをしっかり練習しておけば、夏休んでいる間にスキーが上達しているという不可思議な事実を言い表している言葉です。

これは、水泳やスキーに限ったことではなく、一般の技術についてもあてはまる事実で、私たちの記憶のメカニズムについて、心理学者が明らかにした興味ある重要な現象です。

覚えた直後より、しばらく時間が経ってからの方がより多くの内容が思い出されるという現象は、心理学者の間では以前からよく知られていたそうです。たとえば、ある事柄を何回か、または何分か、回数か時間を限って覚える努力をしたあとなど、学習が完全とはいえない場合に、記憶の直後、30分後、1時間後、6時間後、24時間後、3日後というふうに、思い出すテストを行い、どの時期にいちばんよく思い出せるか調べてみる。

20歳以下の人が意味のあることを覚えるときは、直後よりも一定時間後の方が、しばしばよく思い出せることが証明されています。これは、年齢が若いほど、よく見られることだといいます。

こういう現象を、「レミニセンス」と呼ぶそうです。この現象は、あることを完全に学習した場合には起こらず、その時は、エビングハウスの忘却曲線に沿ってただ忘れていくだけです。

学生の試験は、範囲も広く、内容も膨大だから、“完全学習”ということはまず望めません。そのようなときには、レミニセンスの起こる可能性のあることを“記憶”しておいたらいいでしょう。

それから、私たちが外国語を勉強するときも、いったん忘れたとしても、いずれレミニセンスが起こって思い出せる可能性を考えて、とにかくたくさんの例文に触れておくことが大切ではないかと思います。

ここで重要なのは、レミニセンスが“意味のあること”を覚えるときに起こるということです。意味のきわめて希薄な、単語とその訳語だけが羅列されているリストの暗記では、この現象は起こらない可能性が高いと考えておくのが安全だと思います。

(高木貞敬著『記憶のメカニズム』岩波新書、1976より)
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