2071   発音の学習
2005/03/16 12:45:19  ijustat   (参照数 67)
お久しぶりです。この3月から明知専門大学の日本語科というところへ移りました。韓国語で「専門大学」というのは、日本語で言えば「短期大学」に当たるでしょうか。今年からこの大学に日本語科ができたのですが、競争率がなんと42.1倍だったそうです。

ところで、発音に関して私は観察中心の学習方法を取ってきましたが、最近はコンピュータのおかげでそれをさらに徹底させることができるようになったので、紹介します。

準備物:
1.ウィンドーズ(できればXP以上がいいかも)
2.musicmatch JUKEBOX(CDをMP3に変換するソフト)
3.Sound it!(サウンド編集ソフト)
4.手持ちのCD教材

1と4はもとからあるからいいとして、2と3でたぶん1万2千円ぐらかかると思います。マック用にも同じ機能のソフトはあるようです。私のサウンドイットは“Sound it! 3.0 for Windows”と書いてありますから。

まず、手持ちのCDデータを“musicmatch JUKEBOX”でコンピュータに保存します。それを“Sound it!”で呼び出して、繰り返し聞き、口真似をします。

まあ、それだけのことなのですが、“Sound it!”は音声が編集できるのです。気になる部分を切り取ってそこだけ何度も聞いたり、音声の波形を見ながら途中から再生したりもできます。これで子音や母音がどう発音されるのか、どの音は連続的でどの音は不連続かも分ります。

私はこれを英語のやり直しに利用しています。アメリカ英語の得意なpdcaさんが、イギリス英語の発音は聞き取りにくいとおっしゃっていたように、イギリス英語は英語自体が苦手な私にとっては、部分的にさっぱり音声が把握できない部分があります。その部分でこの学習方法は威力を発揮します。

もっとも、最初はゆっくり読まれたCDを利用しました。“Oxford Bookworms Library”でいちばんやさしいレベルにある“The Elephant Man”のCDを利用しました。これは去年の春ごろやりましたが、そこで(イギリス)英語の大まかな発音のアウトラインを体得できました。特に私にとって謎だった英語の母音の発音がここで明らかになりました。

ただしこのCDは、はっきりと朗読されたものなので、実際の会話のように聞き取れない音声がありません。しかし私が覚えているのは、イギリス英語の教材は、スクリプトを見てもどうしてその音がそう聞こえるのか皆目見当がつかないという部分がたくさん出てきたことです。その謎を突き止めたいと思っていました。しかし、韓国ではイギリス英語の音声資料はなかなか手に入りません。これはと思う日本の教材をキョボ文庫で注文しても、品切れだったり絶版だったりすることが多かったのです。

しかし、今回ビザの切り替えのために日本へ戻ったとき、池袋西部の書籍館で、キョボ文庫で注文して品切れだといわれた『イギリス英語日常会話表現集』(ドミニク・チータム/小林章夫共著、ベレ出版、1,800円)を見つけました。これはなかなかの優れもので、短いスキットがごく自然な速度で録音されています。つまり、“謎”の音がたっぷりと含まれているのです。しかもスタジオで録音されているので、音声が明瞭です。それによって、雑音があるとかき消されてしまいやすい高い周波数の倍音もきれいに聞こえるので、精聴の練習には最適です。

大まかの部分は問題ないとして、その“謎”に満ちた部分を指定してコピーし、そこだけを何度も聞き、その中でさらに核心とも言える難聴な(?)箇所を徹底して繰り返し聞きました。それによって、音が縮まったときの発音が明らかになりました。語末にある破裂音の多くがグロッタルストップ(=声門閉塞)に統一されていることを知り、またそのグロッタルストップも、ある箇所ではグロッタルストップがあるのに聞こえないことも分りました。たとえば、“I got married last year.”という文は最難聴で、“married”の“-ed”が全然聞こえないために“I got marry last year.”という文法に合わない表現に聞こえます。しかし、“married”と“last”の間の波形を拡大してみると、0.065秒ほどの空白があるのです。耳で聞いたときには連続して聞こえるのに、それは不連続だったのです。つまり“-ed”は瞬間の“空白”となって発音されていたわけです。

そのように観察した結果をまたそっくりに言えるまで口真似しました。中には“What’ve you been doing?”のようになかなか口が思うように動かない部分もありますが、それでも何日間か練習すると、大体できるようになります。

そうやって発音が分ったスキットを、その発音で暗記するまで音読します。『イギリス英語日常会話表現集』は、内容が難しくないし短いので、覚えるのにも都合よくできています。もちろん、音読しているうちに発音が怪しくなったら、また聞いて修正します。

この学習方法は、ソフトを購入するのに多少のお金はかかりますが、それでも恐ろしいほど安くなりました。発った数年前までも、音声の編集なんて私たちには近づくこともできないことでしたから。それこそ個人でやるなんてことは、かなりのお金持ちにしかできないことだったと思います。それが現在は、何でもないことになってしまいました。

それに、高価な語学教材はまったく不要になったと思います。発音のためなら早期留学も母語話者から個人レッスンを受ける必要もありません。2千円くらいのCD付き教材さえあれば十分だし、時にはインターネットを使って無料で教材を集めることもできます。

ただし、私の考えでは、この学習方法ではその言語のいろいろなバリエーションを同時に用いるのはよくありません。発音の体系が壊れてしまうからです。まずは一つの地方・階級の言語を模範にする必要があります。だから、イギリス英語とアメリカ英語の両方を一緒にやるのは勧められません。

これは、発音の解説を通さずに直接実際の発話から発音を学ぶ方法なので、音声学の概要を習った人にはさらに有利だと思います。そういえば、最近は音声学の教材にもCDが付いているものが多くなりましたね。

----------

あらまあ、読み返してみると、まるでソフトの宣伝をしているような印象を受けますね(汗)。決してそういうつもりはなかったんですけど、これはもしかしてまずかったかも。書き込んでいたときは、ちょっと熱くなっていたので、気がつきませんでした。

ここで重要なのは、音声教材のデータがコンピュータにあることと、それを細かく切って聞けることです。ソフトは何でもかまわないんです。「観察」と「模倣」の二つをもっと行き届かせることが目的ですから。

これは、私がこのクラブに入ったころは、考えることもできないことでした。今私たちは、外国語学習において、これまでになく大きな技術的進歩を経験しています。(2005.3.17, 19:32)