2018   Re^6:韓国語の音と周波数
2004/10/03 0:26:40  ijustat   (参照数 72)
これは 2016 [Re^5:韓国語の音と周波数] への返信です

pdca様、氷雨様、こんにちは。ijustatです。

トマティス氏の本は、『人間はみな語学の天才である』(アルク、1991年)を以前手に入れて読みかけたのですが、のっけから、発音さえつかめれば言語が理解できるようになるという調子で書かれていて、読み続けられず、途中で読むのを放棄してしまいました。そのあと、誰かがトマティス氏を絶賛しているのを読んだこともありましたが、人それぞれ必要なものが違うのだなと思った程度でした。

今回また、トマティス氏の話題が出てきたので、以前読みかけたその本を、また引っ張り出してきて読み始めましたが、やっぱり発音の話ばかりで、だんだんうんざりしてきてしまいます。何ででしょうね。私は外国語学習において、発音を非常に重視しているにもかかわらず、ほとんど訴えてくるものがないのです。

韓国語の周波数の話が出ましたが、これは母音を発声するときの声のトーンのことではありませんよね。今これを書き込んでいる時点で、トマティス氏の本を108ページまでしか読んでいないので、トーンについては後に出てくるのかもしれません。後ろの方に、何かグラフのようなものが出ているのを、さっきパラパラとページをめくりながら発見しました。でも、“エスノグラム”という名称に、何だか嫌な感じがしました。まあ、私の偏見かもしれません。あとでちゃんと読んでみます。

声のトーンに関していえば、韓国語のソウル方言(「標準語」を含む)は、高いトーンを要求するアクセント法がないので、全体的には低く聞こえるようです。これは、私が日本語で話しているのを聞いて、学生たちも同僚の韓国人の先生たちも一様に、私が韓国語で話すよりも声が高くなっていると言っていたことから推して考えました。確かに、日本語では抑揚アクセントのある文節は、高い部分が韓国人の耳には不自然なほどうわずって聞こえると思います。

しかし、子音に関して言えば、pdcaさんが指摘されたように、日本語にはない高い周波数帯に集中している音があるようです。“WaveSurfer”のような音声を視覚化してくれるソフトで韓国語を見ると、ずいぶん高い音域に、まるで母音のように集中して現れる音があります。それらは主に激音で、特に“チ”の激音が顕著です。日本語では“シ”がいちばん高いのではないかと思いますが、この激音の“チ”ほど強くありません。

耳に聞こえる韓国語の音に戻って話を進めると、韓国語の激音は、その表現を明快で切れ味のよいものにしていると思います。漢字語の多い込み入った話をするとき、激音の存在が、聞き取りを容易にしているのです。これは日本語を聞き取るときと、ずいぶん違います。日本語の場合は、漢字語の正確な長短とリズム、それからアクセントの置かれ具合で明快さを保っています。韓国語の発音に慣れていない日本人が韓国語を話すとき、何を言っているのかよく分らないことがありますが、それは激音が発音されていないためであることが多いようです。

で、韓国語の子音を見てみると、子音は初声(=音節の冒頭)で18種類(または19種類と言ってもいいか)、終声(=音節の末尾)で7種類あります。“w”や“y”が後続する初声も合わせたら、初声の子音はずっと多くなります。母音は最低7つから最高10個あります。それらの結合にはほとんど制約がないので、音節数は2千種類をこえます。日本語の子音は韓国語で言えば初声にしかなく、その個数は“w”と“y”を含めても14個です。母音は誰もが知っているように、5つしかありません。それプラス、撥音と促音があります。それらの組み合わせには制約が多いので、全部併せて長短まで入れても、音節数は500種類ぐらいにしかならないのではないかと思います。(以前このクラブで計算したときは、ずいぶん違う数を出したと思いますが、見つけられませんでした。^^;)

こうやってみると、日本語は韓国語に比べて音素が少ないのだから、韓国人にとって日本語の聞き取りは簡単でなければならないはずです。しかし、実際にはそうはいかないらしく、日本語の厳格なリズムが把握できるまで苦労する日本語学習者が多いです。今、学生がほとんど女性の梨花女子大の言語教育院で教えながら、学生たちは年齢に関係なくうまく発音を把握していますが、以前、男性会社員の多い延世大学の語学堂で教えていたときは、リズムと関係のある日本語の発音が把握できず、“애매해!(はっきりしないなあ)”と漏らしている学生もいました。

もちろん、日本人が韓国語を勉強するときの苦労に比べたら、それらはチョロいものかもしれません。私の場合、激音の把握は学習を始めてから10ヶ月のころできるようになりはじめ、濃音の把握はそれに遅れ、一番最後まで違いが体感できなかったのが“s”の濃音で、これには6年くらいかかりました。やはり、周波数と関係があるのかもしれません。

ところで、韓国語には世界中のすべての言語の音があるというのは、私も韓国人の筆になる文章でしばしば目にしました。なぜそういうことが言えるかといえば、自分の言語にない音は、その言語の話者にとっては“存在しない”からでしょう。

世界の言語には、必ずといっていいほど、言語ごとに特殊な音があります。それらは韓国語にはありません。また、大体どの言語も、基本的な音のうち何らかの音が抜け落ちています。韓国語もそうです。韓国語には、語頭の有声子音が(“ㅁ”“ㄴ”“ㄹ”以外は)存在しません。だから、それらの音は、無声子音で表現します。そのため、「金メダル」も「銀メダル」も韓国語に音訳したら、同じ“김메다루”になってしまうのです。では、「金」を“킨”と書き表したら区別できるではないかとおっしゃるかもしれませんが、日本語の音は、韓国語で“ㅋ”に入れるには、あまりに息の出し方が弱すぎるのです。

そのような難点はあるにせよ、韻律的な特徴が似ているため、韓国語と日本語とは互いに学びやすく、聞き取りも比較的容易だと思います。これは、英語や中国語などとはとても違う点だと思います。トマティス氏は周波数を用いて説明しているそうですが、私にそれがどのくらい納得できるか、先を読み続けてみたいと思います。

なお、聞き取りと発音とをまぜこぜにして喋ってきましたが、正しく発音できるためには、氷雨さんが「要するに、聞き取りの練習と共に、発声の練習も熱心にしないと“直ちに”改善することは難しいってわけです」と指摘しておられる通り、練習が必要です。まあ、私としては、発音練習をしなければ、発音は直ちに改善するのが難しいというよりは、永遠に改善できないと思うのですが。

あ、そうそう、数日前、氷雨さんから携帯メールで“부지런하다”を日本語でどういうかという質問をいただきました。この語で真っ先に思い浮かぶ日本語は「勤勉だ」ですが、どうもしっくり来ません。“부지런히”では、「せっせと」が一番近い感じがします。そのほか、「コツコツと」などもありますが、これは長期間続ける意味が強調されるので、ちょっと余計な意味が加わってしまいます。例文もいただければ、いい日本語が思いつくと思います。