1771   Re^18:話す能力
2004/02/28 15:57:45  ijustat   (参照数 1)
これは 1752 [Re^17:話す能力] への返信です

NOVIO様、こんにちは。ijustatです。

>日本語の語彙や論理には一定の限界があります。
>
>英語で学ぶ概念の多くは日本語に語彙がありません。
>ある種の論理をあらわすには日本語では曖昧で表現しづらいことがあります。
>また日本語で重要とされている概念にも英語に語彙がないものが多いのです。
>日本語の微妙な言い回しが英語に訳せないのもしかりです。

本当にそうだと思います。“commitment”なんて言葉は、理解するまで本当に時間がかかりました。どの辞書を見ても意味が分からず、最終的にコリンズの英英辞典でやっと理解できました。韓国語のように日本語とよく似た言語でも、訳すときに日本語にならないものがよくあります。その概念が日本語にないからです。

そういえば、韓日辞典や英和辞典などで、一つの意味のところに訳語が5つも6つもあるものは、それらの訳語に該当しないという意味だと私は思っています。一つの日本語で表せないから、いくつもの訳語をそこに当てはめているわけです。それだけの訳語を集めた辞書の編者はすごいと思いますが、訳語があるからといって、一対一の対応ができると信じてしまう人が多いのは困りものです。

>つまり外国語を学ぶことによって、その人の知覚するHorizonが飛躍的に
>広くなるのです。スペイン語、フランス語、中国語、いろいろな言葉を
>学ぶことでその人の思考の範囲も拡大していきます。
>
>これはきわめて重要なことだと思います。
>一度も使わない言語であっても学ぶ価値があると思うのはそのためです。

私もこれがきわめて重要なことだという考えに同意します。古典語を話す機会はまあないと思いますが、それでもやはり、学ぶ価値はあると思います。漢文、ラテン語、古典ギリシャ語、サンスクリット語など、紀元前後の言語を学んでその古典を読めることは、その人の世界観に深みを与えることでしょう。

また、NOVIOさんのおっしゃるように、スペイン語、フランス語、中国語などの現代語であっても、会話を前提としない学習は十分可能です。千野栄一は、「いくつもの言語を知れば知るだけ、その分だけ人間は大きくなる」(『外国語上達法』岩波新書、212頁)と言っていますが、本当にそうだと思います。

>ちなみにわたしは言語のみならず、その国の制度、文化等も一緒に学ぶ
>ことを心がけています。背景を知らないとまともな会話ができないからです。
>自分の専門分野の単語を学ぶことはもちろんですが。

日本語教育では、日本文化と日本事情とを分けて教える考え方があります。そこでは、日本文化というのは伝統的な文化遺産や思想などで、日本事情というのは、現在の日本の暮らしです。で、こういう言語の背景知識を千野栄一は上記の本で、“レアリア”(177〜194頁)と呼んでいます。この知識のあるなしが、その言語の理解度を大きく変えるというわけです。

私は韓国に住んでいるので韓国語のレアリアには事欠きませんが、今勉強しているギリシャ語に関しては、レアリアの知識がない分、出てくるものほとんどすべてが奥歯に物の挟まったようなもどかしい理解にしかなりません。これが国際語になってしまった英語の理解になると、またずいぶん違った様相を呈してくるのでしょうね。

ところで、レアリアと関連して身体言語ですが、このクラブで若いときにアメリカへ行って老教授に自分から握手を求めて失敗したという話がありましたが、私の考えでは、日本でやっていたのと同じようにお辞儀をすればよかったのではないかと思います。慣れないことを下手にやれば、おかしくなってしまいがちですから。

ギリシャでは親しい人との挨拶に、右頬と左頬に口付けをしますが、私は、それは勘弁してくださいといいました。“very embarassing”だからです。握手なら慣れているのでかまわないのですが(それも最初は抵抗がありましたた)、口付けはちょっと勇気が要ります。(笑)まあ、もしギリシャに住むようになったら自然にできるようになるんでしょうけどね。

>相手はわたしたちの言語能力には関心がありません。
>わたしたちがコミュニケーションする内容に興味があるのです。

これは至言ですね。多くは、言葉を間違えると軽く見られると思われていますから。本当に問題なのは、言語能力も低くて内容も空虚なことでしょう。私も含めて、私たちは話の内容が貧弱なことが多いです。これはもしかしたらどこの国でも似たり寄ったりなのかもしれませんが、私たちの問題は、コミュニケーションする内容を充実させる方法を学ぶ機会があまりないということです。

その点に関しても、このクラブでいろいろディスカッションする機会ができればいいですね。