1490   『より良い外国語学習法を求めて』
2003/12/17 00:04:58  ijustat   (参照数 20)
ゆどうふさまこんにちは。ijustatです。

今週の日曜日、新宿小田急デパート10階の三省堂書店で、すばらしい本を見つけました。それは、タイトルの本です。『より良い外国語学習法を求めて』という題で、副題に「外国語学習成功者の研究」とあります。

著者は竹内理、出版社は松柏社。発行は今年11月25日(松柏社のホームページによると、12月1日らしい)で、値段は2500円。買ったとき値段のことは考えていませんでした。あとで見て、高いのに驚きました。でも、300ページを超す分量なので、そのくらいの値段は普通でしょう。

これまで言語習得の研究は、教師の立場から見たものがほとんどでした。それは、より効果的な言語教育を行うために教師たちは模索しており、教師の立場からの研究は実際的な需要があるからです。

しかし、この本は、学習者の立場から見て言語習得を研究しています。どのようにしたかというと、語学の達人と認められる人たちをインタビューしたり、語学の達人と認められている人たちの外国語学習に関する著作物で言及されている学習方法を調査し、その証言の言語習得理論との整合性を確認しているのです。著者はこの研究のために、百何十冊もの外国語学習法の本から、選択基準を満たす69冊を調査対象としているというから、ただただ驚嘆するばかりです。

この本の視点の特徴は、外国語学習の成功例に目を向けているという点です。失敗例も役には立ちますが、成功例の力強さにはかないません。この本で指摘している外国語習得成功の要素はいろいろあります。まず、北米の研究ではあまり言及されていない、音読の有用性を指摘する証言が多いという点が特筆されます。基本文例の暗記のような、言語教育であまり重要視されていない方法が必要だと、語学の達人たちは異口同音に指摘しているという点も、この本で明らかにした意外な点です。また、正しい発音への執着があったために正しい発音ができるようになったという点と、文法の重要性を強調しているという点も、この本で明らかにした一つの外国語習得の重要な要素だといえます。

この本は非常に役立つ本ですが、内容は純粋に学術的です。だから、言語教育や言語習得に関する基礎知識のない人が読むと、えらく硬い本に見えてしまうかもしれません。しかし、学術的であるだけに、その説得力は迫力を伴っています。ただ、私も最後の章は難しくて、よく分からないままざっと読み飛ばしてしまいました。あとでしっかり読み返そうと思います。

私にとってはセンセーショナルな本でしたが、外国語学習者の世界ではどのくらい評判が立つかは分かりません。一般向けではないからです。もちろん一般人が読める本ですが、一般人が読みたがるスタイルではないので、一部の(私のような)外国語学習法マニアには力強く支持される本になるかもしれません。(これを書き込んでいる段階では、インターネットでは何の反応も検索されませんでした。ただ著者の大学での授業計画書と、松柏社ホームページの“新着情報”のページにこの本の名前が書いてあるくらいで、図書案内もまだありませんでした。だから、これは本当にホットな情報です!)

この本で明らかにした外国語習得成功の秘訣は、著者の言によれば、“ありふれたもの”でした(私にとってはそうでもないんですけれども)。いわゆる“秘術”を使ったと証言している本はなかったそうです。そして、このありふれた方法を、外国習得の成功者たちは、最後まで続けることができたという点が特徴であると指摘しています。それで、課題として残されたのは、外国語学習を最後まで続けることができる方法ということになります。私の知っているいくつかの本では、外国語を習得するまで学習をあきらめない方法を指摘していますが、それらの総合的な研究には手が回らなかったということのようです。確かに、外国語習得に一番重要な要素は“継続”だといえるかもしれませんね。たとえ何年かけてでも習得して見せるという学習者なら、方法がどんなにお粗末でも、ついにはその外国語を習得してしまうでしょうから。