1472   音読50回
2003/11/06 13:53:52  ijustat   (参照数 5)
シュリーマンが『古代への情熱』で、外国語を身につけるとき、その秘訣の一つとして「非常に多く音読する」ということを挙げています。私はその回数がずっと気になっていました。非常に多くとは、いったい何回くらいのことを指すのか。

ところが先日、『「読んで身につけた」40歳からの英語独学法』という本を読んでいたら、50回音読するということが書かれていました。それを実際にやってみて、その感想を私のホームページに書き込んだのですが、それをここにまた転載します。


先日読んだ、『「読んで身につけた」40歳からの英語独学法』(笹野洋子著、講談社+α文庫、2002年)に、音読を50回行うと、質的な変化が起こるということが書いてあったので、実験的にやってみた。

私がやったのは、『現代ギリシア語の入門』(荒木英世著、白水社、1990年)の第17課本文だ。1回読むごとに“正”の字を1画ずつ記しながら読んだ。そうでもしないと、何度読んだのか分らなくなってしまうからだ。とにかく50回というのは、慣れない私にはすごい回数だ。ただ、このテキストは、音読50回にはちょっと分量が多すぎて、延々と2時間弱の間、ずっと声を出し続けることになった。

やっていると、まず声が嗄れ始め、次に舌が疲れてくる。疲れたとき、間に1〜2分の休憩を入れてまた続けた。ギリシャ語は語形変化が多いので、なかなか覚えにくいのだが、30回を過ぎると、徐々に見なくてもそのまま口が動いていくようになる。そして40回に近づいた頃には、一応全部を暗唱できるようになる。40回以降は、1回眼を離して読み、1〜2回見ながら読みを繰り返して、やっと50回を読み終わった。

50回連続音読というのは、初めての経験だった。確かにすごいものだということは分かった。無理やりに口に記憶させてしまうからだ。著者のいう“質的変化”というのは本当にあった。これなら、“いくらやっても伸びない”という悩みはなくなるだろう。笹野洋子という人は、“50回”という反復回数を、どうやって発見したのだろう。

ただ、今回はテキストの選択に無理があったかも知れない。1ページにぎっしり詰まったテキストを50回も音読するのは大変だ。それに、毎日音読をするとして、1日2時間を外国語学習に割けないときもある。50回の音読というのは、いっぺんにやった方が効果があるようだから、なるべくなら一度に音読するテキストは短い方がいい。NHKのラジオ外国語講座くらいの分量が適量だろう。あれくらいなら、1日30分くらいで50回の音読ができる。でも、一日中外国語の学習に費やしてもいいなら、毎日まる1ページの読解文を50回音読することは、爆発的な効果を発揮するような気がする。

音読というのは楽しい。特に、ある回数を超える頃から、徐々にその言葉が自分の体に染み込んでくるのを感じるのは、とても快感がある。シュリーマンが外国語をどんどん習得していく際に、過度の興奮で夜もあまり眠れず、起きてその日習ったことを諳んじたと書いているが、その気持が分るような気がする。というのは、覚えたことまた思い出して言ってみるのもまた快いからだ。



まあ、50回音読してすらすら暗誦できるようになるかどうかは、テキストやその日の体調にもよります。50回音読したあとで、部分的にしか思い出せないこともよくあります。

しかし、確かにいえることは、質的な変化は起こっているということです。これは劇的なことです。確実にその部分は最初の記憶の関門を突破しました。あとは、時々おさらいをして、その知識を確かめたり、音読している時ははっきりしていなかったことを、調べてはっきりさせたりすれば、その知識はわりと楽に自分のものになっていきます。

50回の音読というのは大変ですが、それでもいちばん楽な方法だと実感しました。皆さんにもぜひお勧めします。