帰納的聖書勉強法について


聖書勉強の方法には様々なものがあります。帰納的聖書勉強法はその一つで、特色は、基本的に聖書だけを読みながら、その内容について討論をしながら学んでいくという点にあります。一種の聖書読書会と言えるでしょう。しかし、ただの読書会と違うのは、帰納的にではありますが、聖書の言葉の適用を目指しているという点です。

この勉強方法の基本的な形式は、1)観察の質問と、2)解釈の質問、そして、3)適用の質問という3つの質問によって進行していくというものです。観察の質問では、聖書箇所に書かれている内容をもらさず把握し、そこで言及されている関係などに注意深く目を向けるようにします。解釈の質問では、それらの内容が客観的にどのような意味を表しているかを考えさせます。あくまでもテキストが語る意味の解釈を追求します。そして最後の適用の質問は、それらの内容が私たち自身にとってどのような意味があるのかを、各個人の生活などに照らし合わせて考え、それぞれの個人に適用される意味を分かち合うよう促します。これらの質問は、司会者が前もって準備します。

この帰納的聖書勉強は、日本人の特性に合ったものだと思います。なぜなら、私たちは第一次資料を観察する能力に長けていますが、聖書という信仰の第一次資料を十分に観察することによって、この能力を満足させることができるからです。次に解釈の質問を通して、細かく観察した内容を“意味”のレベルに掘り下げます。ここまでは私たち日本人が比較的強みとしている部分ですが、適用は、それを主観的に読むことで、私たちの苦手とするところです。しかし、この十分に観察して解釈した知識を土台として、それを自分の生活に適用することによって、聖書の言葉は確実なものとして自分の血となり肉となっていきます。

実に、聖書を読む目的は“適用”にあります。その準備の段階として、たっぷり時間をかけて、観察と解釈をしていくのです。

帰納的聖書勉強には、次のような長所があると思います。

  1. みことば中心の交わりとなる。
  2. 聖書を深く読む訓練になる。
  3. 偏りなく聖書が読める。聖書箇所を順を追って読んでいくので、自分の好きな所や都合のいい所だけを読むわけにはいかない。
私たちクリスチャンは、栄光から栄光へと、主と同じ姿に造りかえられていくことを願っています。そのためには主の方に向き直る必要があるのですが、それを可能にするのは、聖書のみことばです。そしてそれは、じっくり読んで、その内容を適用することで、少しずつキリストを知り、キリストと同じ姿に造りかえられていきます。帰納的聖書勉強法は、微力ではあっても、きっとその助けになるでしょう。

勉強会の順序は、次のようです。

  1. 賛美を1〜2曲歌う。
  2. 聖書箇所を1節ずつ輪読する。
  3. もう一度、黙読する。
  4. 観察の質問をする。
  5. 解釈の質問をする。
  6. 適用の質問をする。
  7. 今日の箇所で心に残る1節を選んで感想などを分かち合う。
  8. 与えられたみことばをもって祈る。
この順序は、デボーションとほぼ同じものですが、一人で黙想するデボーションと違う点は、数人で討論することで分かち合うという点でしょう。これによって、一人では読み込めなかったところまで、他の人の読みを通して気付くことができ、深い読みができるようになります。

この聖書勉強会は、司会者が前もって本文を読み、質問を準備します。それは大変な作業ですが、質問作りがうまくいったとき、メンバーが活発に発言して、準備段階では思いもよらなかった深い意味を知るという醍醐味をいちばん味わえるのも、質問者です。